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トピックとお知らせ

教員養成校のラオス語教員を対象にセミナーを開催しました

10/15-18の4日間、ルアンパバン県で、教員養成学校のラオス語教員(将来の小学校教員に対し指導をしている教員)を対象に、「ラオス語教授法改善セ ミナー」を開催しました。本講習は、教員養成学校のラオス語教員の養成として昨年から実施している事業です。
参加者は、ルアンパバン教員養成学校から6名、ルアンナムター県から5名、シェンクワン県から5名の全員で16名でした。講師は、作家で教師の経験 も長く、当会との関わりも深い、ドゥアンドゥアン、ラオス事務所代表のダラー、スタッフのスックパンサーでした。

本ワークショップのねらいは、初等学校のラオス語の授業に、絵本や本を副読本として導入することで、読書の機会を増やし、読書の習慣の定着を促すと いうことです。同時に、算数や理科あるいは地域によってはフランス語の授業に比べ、おろそかにされがちなラオス語の授業を多様なテクニックを取り入 れ、生徒の思考・発言を促し、生徒主体の授業づくりをできるようにすることでした。

ワークショップの内容 ワークショップの最初の2日で、当会出版の絵本を教材として使用し、以下の様なテクニックを伝授。

・おはなしの中に難しい単語が出てきたときの教え方・学び方
・物語の続編を生徒に考えさせる
・生徒の読解力を促進し、確認する方法
・物語で扱われているテーマを自分たちの生活に当てはめたり、他の科目の学習も混ぜながら行うワークショップ形式の授業の手法(総合的な学びのため のワークショップ手法)

その後、参加者は習いたてのテクニックを取り入れた模擬授業のレッスンプランを立てました。

●模擬授業の様子
3日目は、実際にルアンパバン教員養成学校が提携している近くの小学校に行き、四年生を対象に模擬授業を行いました。
ちょうど土曜日にぶつかってし まいましたが、ほとんどの児童(家のお手伝いをしなくてはいけない女子生徒が若干名欠席でした)が出席してくれました。
通常はラオス語の授業は1日 に1時間 (1時間=50分)のところ、この日は約60人の4年生が3クラスに分かれ(通常は、2クラス)教員の模擬授業を行い、3時間ほ どラオス語の勉強をしました。
いつもと違う先生を前に、緊張気味だった子どもたちも、2時間目、3時間目になると、詩をリズムや手拍子に合わせて熱 唱したり、各班で協力して質問の答えを考えたり、いつもと少し違う授業に楽しんで参加しているようでした。


 
左:セミナー講義の様子 右:模擬事業の様子

登場人物が「ビニールぶくろくん」と「バナナちゃん」の絵本「ぼくはどこへいくの?」を総合的な学びのためのワークショップ手法を用いて行った授業 では、我こそは発言したいと、生徒が身を乗り出し授業に参加していました。たとえば、、、

教員:「バナナの木にはどんな部位があるんですか?」
生徒:「葉っぱ!」
教員:「他には?」
生徒:「幹!」
生徒:「花!」
生徒:「バナナの実!」
教員:「他には?」
生徒:「幹の中の芯!」
教員:では、それぞれの部分にどのような使い道があるのか、各班毎に考えてみましょう。

という具合に、お話に登場したバナナの木が、日々の自分たちの生活の中でどのように使われているか、班毎に意見を出し合います。

バナナの使い方について出た意見は、スタッフブログ(10/28)「バナナの使い道」をご参照ください。

4日目は、模擬授業を行ってみてそれぞれの課題や反省点を話し合い、レッスンプランの改善案を作り、発表し合いました。

●模擬レッスンをやってみて講師からのコメント
講師からのコメントでは、問いかけの仕方、質問の仕方についてアドバイスがありました。
・オブザーバーで見学している先生も、サポーターとして、授業に参加しましょう。
・イエス(Men)かノー(Bo men)で答えられる質問ばかりしていたり、答えを誘導しているので、生徒自身に考えさせていない。

たとえば、下記が授業中の教員と生徒の良くあるやりとりの様子。
教員:「主人公のヌアンドームはどんな性格?」
生徒:応答なし。 教員:「まずお話の最初に何していたの?」
生徒:(一斉に)「お母さんの手伝い!」
教員:「お手伝いし、よく働くんですね?」
生徒:(一斉に)「はい!」 教員:「よく働く人のことをなんて言うですか?」
生徒:(一斉に)「働き者!」
教員:「ヌアンドームは働き者ですか?」
生徒:(一斉に)「はい!」 こんなやりとりが授業中ずっとされています。
上記の様なやりとりは、いつもの習慣で模擬レッスンでも抜けません。

教員の学び、生徒の学び、当会スタッフのため息 総合的な学びと呼ばれるワークショップ形式の授業を通し、子どもたちはバナナの木と自分たちの生活・習慣・文化との深い関わりを再認識しました。 自分の生活に身近なことを考えればよいので、生徒の参加も積極的になります。

 
左:模擬授業「ぼくはどこへ行くの?」の様子 右:模擬授業「バナナの葉を使って」の様子

今回のセミナーでは当会が出版している本を授業の中で活用する方法を伝え 、「絵本の読み聞かせ」に留まりがちの学校の図書の活用方法を学んでもらいました。しかし、ワークショップ終了後の参加者の評価では、習得できなかった手法があったと言う参加者の声も聞かれ、改善策を練る必要もありそうです。

また要望としては、「同じようなセミナーを現職の教員向けにやって欲しい」「同様のセミナーを教員養成学校で行うための資金を支援して欲しい」など 、他力本願なところがなんともさみしく、当会スタッフは4日間の講習の後、さらに疲れを感じるのでした。このような教員養成講習は、政府が行って当 然と、10月初旬にラオスに赴任し、初めてセミナーに同行した私は感じるのですが、そこに到るまでにはどうやら長い道のりがありそうです。

※今回の教員養成ワークショップの講習内容は、講師であったドゥアンドゥアンも参加したCambridge Educationのプロジェクト“Teacher Training Enhancement and Status of Teachers(TTEST)”が元になっています。理論中心であったTTESTを今回のワークショップのために、現場に適応するテクニックに置き換えプログラムを組み立てました。(ご支援:日本国際協力財団)


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