これまでに実施したプロジェクトの報告
近年実施した読書推進プロジェクトを報告します。
「学校図書室の地域への展開事業」
事業の概要
事業名: 学校図書室の地域への展開事業
事業の背景と必要性:
当会は1992年のラオス国立図書館による「読書推進運動」発足時から、これに協力し、学校における図書活用の包括的な支援を実施してきた。2010年からは「ラオスにおける読書推進運動の自立的運営の定着化」(草の根技術協力事業)に焦点をあて、人材強化を図るべく、1校につき複数の教員を、さらに郡教育指導官を、図書活動の担い手として育成。また、3ヶ所の教育局に図書活動の運営主体となる読書推進センターを発足させた。その結果、対象校では事業開始時に比べ、図書利用者数は3倍強に、貸出利用者数は2倍に増加した。
担い手を増やし、「わが校」の図書活動としての意識、オーナーシップを高めることが自律的運営の源泉となることが再確認されたのである。図書活動の定着化をさらに確実なものとするためには、担い手・支援者・理解者の裾野を広げることが、次なる施策として求められる。その対象を学校内にのみに求めるのは、財政面および行政面で、限界がある。そこで、保護者や学校周辺地域の住民を新たな対象とし、「うちの子が本を借りてくる学校図書室」を支えることで、中心的担い手である教員が意欲を持ち続けることに繋がっていく。
プロジェクト目標:
学校図書活動の拠点が地域に広がることにより、子どもたちの図書利用機会が増加する
対象地域:
ルアンナムター県(ナムター郡、ナーレー郡)、ヴィエンチャン県(サナカーム郡、ムーン郡、フアン郡、メート郡)の6郡
受益者層(ターゲットグループ) :
対象地域の小中学校16校の教員、校長、児童生徒、学校周辺の地域住民
期待されるアウトプット及び活動:
<アウトプット>
1. 学校図書室が整備されている
2. 学校図書活動の質が向上する
3. 地域文庫が整備される
<活動>
1.子どものニーズをふまえ、図書セットを配布し、図書室を整備おこない、図書活動を充実させていくための基盤づくりをおこなう。
2.学校での図書活動の促進を図り、図書室開放、図書貸出、図書を活用したアクティビティ、児童生徒による図書室ボランティアの設置を実施する。
3.学校図書活動イベントなどを実施する中で、住民の図書活動への理解を促す。住民から地域文庫の運営に協力してくれる図書活動ボランティアを発掘するとともに、村教育開発委員会が、地域文庫の管理を担うようにする。
実施期間:
2014年2月〜2018年1月(4年間)
事業費概算額: 49,982千円
【活動実績まとめ】はこちら
【事業評価報告書】はこちら
事業の実施状況の報告は以下をご参照ください
■通信60号 P1 「新プロジェクトいよいよ始動」
■通信61号 P1 「学校のわくを超えて、地域に図書室を」
■通信64号 P1 「地域図書館、第1号、第2号オープン」
■通信65号 P1 「都会と地方のギャップが広がる中で」 *
■通信67号 P1 「たくさんの ソフィアさんを応援したい」 *
■通信68号 P1 「たくさんの本を届けたい」 *
■通信69号 P3 「村の図書室を育てていこう」
■通信70号 P1 「村の挑戦 ラオスのこどもの挑戦!」
*関連記事
事業の様子を紹介したブログ
●2015年5月19日:図書委員長におまかせ!!
●2015年5月31日:はじめての”村図書館”
●2016年5月3日:熱いディスカッション!
●2016年5月6日:ベスト図書室
●2016年5月8日:アクションプラン
●2016年8月12日:ソフィアさんにインタビュー
●2016年8月22日:インターン便り(2)〜教育指導官の研修〜
●2016年12月10日:学校図書室フォローアップ
●2017年1月17日:学校図書室フォローアップ その2
●2017年1月19日:学校図書室フォローアップ その3
●2017年8月18日:村のみんなでつくる地域文庫
●2017年11月17日:最近、人気急上昇の本
「小中学校における図書活用強化事業(第1期)」
【日本NGO連携無償資金協力】<目的> 図書室がある学校で、授業に絵本などの副読本を取り入れ、図書の活用と子どもの学ぶ力を高めることを 目指す事業
<対象> チャムパサック県・サワンナケート県・カムワン県3県34校
<実施期間> 2011年10月16日〜2012年10月15日
<実施内容>
・各校をまわり、活動状況の調査と担当者の面接。
・地域と活動状況に合わせて4つのグループに分け、各校から2名参加する図書活用セミナーを開催。
・サワンナケート県・カムワン県の18校を、1校、2日間かけ学校訪問活動を実施。
セミナー実施前に、全校を巡回し、活動状況の調査・担当教員との面接をおこない、活動状況に合わせグループ分けをしました。セミナーは、活発校向けと停滞校向けの2パターンを実施し、各校の課題に適したノウハウを得られる構成としました。
巡回訪問の際には、全対象校に2日程度滞在し、セミナーからは見えなかった各校の実践・応用段階での課題に取り組むことができました。セミナーでは、物語をもとに劇を作る指導をしており、多くの学校で、子ども達が劇を演じる姿が見られました。
事業の実施により、対象校において以下のような成果が出ています。(カッコ内は事業開始時の数値)
*図書室を定期的(週3回以上)に開放している対象校: 97% (74%)
*教員が授業で図書を活用している対象校: 88% (47%)
開始時には、よく活動している学校でも「読み聞かせ」が唯一の図書活用の方法だったが、事業実施後は、演劇、科学本を使ったゲーム、詩の詠唱など、図書の活用が多様化した。
*図書を利用する児童生徒が増加した対象校:76%
完了報告書はこちら
事業の様子を示す写真はこちら
読書推進運動の自立的運営の定着化事業
【草の根技術協力事業】
<目的> 学校での図書活用方法の指導や、地域の読書推進センター活動により、読書推進活動が、ラオスの人々により、継続的に実施される体制を整えることを目的とした事業
<対象> ボーケオ県、ヴィエンチャン県、チャンパサック県、セコン県の4県30校
<実施期間> 2010年3月15日〜2012年1月31日
<実施内容>
30校の対象校で、人材強化を図るべく、1校につき複数の教員を、さらに郡教育指導官を、図書活動の担い手として育成しました。また、3ヶ所(ボーケオ県パーウドム郡、チャンパサック県ポントン郡、チャンパサック県コーン郡)の郡教育局に図書活動の運営主体となる読書推進センターを発足させたました。さらに、ヴィエンチャン県で開設していたセンターの稼働状況を見直し、地域の図書活動をさらに活気づけ、担当者がやりがいを感じられるよう、センターの権限・機能を増強しました。センターの主な役割・機能は、学校図書室活動に関して、「使用済み貸出カード・破損本と新本の交換」「各地域の情報集積」「学校への図書提供」です。
これらの結果、対象校では事業開始時に比べ、図書利用者数は3倍強に、貸出利用者数は2倍に増加しました。最も活発な活動をおこなっていた6校を優良校として表彰し、図書室整備を支援。優良校の実践を共有するために、県内の全対象校の校長・担当教員と共に各県の優良校・停滞校を見学し、情報交換を実施しました。
図書の利用の大幅な伸びが見られた優良校には次の共通点が見られました。
@校長が図書活動への理解を示し、リーダーシップを発揮し、適切な人員配置をしている
A多くの教員・生徒が図書活動に関わっている
B図書室が確保できなくても、各教室で閲覧や貸出しがおこなえるよう各担任が教室文庫の実施に協力しています
優良校のある校長は「ラオ語を敬遠していた少数民族の子ども達が、絵本に親しむようになってから、ラオ語を読むことに積極的になり、正しいラオ語が書けるようになってきた」と図書活動の成果を語っています。
写真付きの詳しい報告書はこちら