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成果と課題

私たちの20年以上にわたる、出版や読書推進活動はどのような意味を持っているのでしょうか。評価と問題点を挙げてみました。

図書の効果と教員が担う役割

私たちが活動する中で調査したところ、図書をよく活用している学校の教員たちからは「読書をすることにより、子どもたちが授業を理解するのが早くなり、文字の習得がスムーズになった。本があることによって、子どもたちが学校を欠席せずに来るようになった。落第率が低下した。」という効果が上げられています。子どもたちの文字の習得、基礎教育の獲得に対して、図書は非常に大きなカギを握っているといえます。

また、子どもたちが図書に親しめる環境をつくるためには、教員が子どもと図書をつなげるという重要な役割を果たさなければならなりません。

教員が抱える問題

私たちは、教員に対してセミナーを実施した上で図書を配付していますが、その後の利用状況を調査してみると、休み時間には子どもたちが図書を利用できるように開放していても、教員が積極的に子どもたちに働きかけて、図書に親しめるように活動している学校は多くありません。特に、授業において図書を活用している教員は残念ながら少ないのが現状です。

その理由としては、

  1. 教員自身が子どもの時に本を読んだ経験がなく、図書を具体的にどのように活用してよいかわからない
  2. セミナーの開催時間は限られており、学習する内容も多いことから、セミナー講義だけでは充分な理解ができない(理解はできても、実際の活動に結びつけられない)
  3. セミナーを受講した図書担当教員の転勤や退職があると、他の教員に引き継がれない
などが挙げられます。

活動を通して見えてきた課題

ラオスでは、一般に本が普及していないこともあり、文字の読み書きは小学校に入って、学校で習うものと考えている親が多くいるようです。ところが、子ども達に初めてラオス語の読み書きを教える小学校の教員が、ラオス語の教え方の技術が充分ではなく、正しいラオス語を使えない教員も少なくないのが現状です。小学校の教員がラオス語を教える技術が低いことが、子どもたちのラオス語習得の壁を高くしている原因の一つであるといえます。

国語教育改善の必要性

現状では、小学校の通常のラオス語(国語)授業は、教科書の内容をそのまま読んだり写したりする方法で教えています。教科書の内容は単調で子どもたちにとって面白くない上、それを暗唱したり書き取ったりするだけの授業は魅力がありません。子どもたちが興味を持ちながら、正しいラオス語を学ぶことができるか否かは、教員の技量にかかっています。しかし、教員自らが教材を作成したり、図書などを教材として利用したりという創意工夫はなされていません。教員自身がそのような教育を受けたことがなく、またそのような教え方のテクニックを学ぶ機会がなかったことが原因と思われます。

さらに、教員となる際に、教材開発やラオス語の教授法を学ぶ場となるべき教員養成校では、問題点を認識しつつも、どのように改善したらよいかわからないというのが現状です。ラオスにおいて、教育分野では、様々な援助が入っているが、国語教育に対する支援は行われておらず、他の分野に比べて、質の改善が遅れています。国語教育はすべての分野の基本であり、教授法の改善は急務の課題であるといえます。